新潟市で今年初めて開催されている「水と土の芸術祭」。
新潟市は信濃川と阿賀野川という水量豊富な川が日本海に流れ込む街であり、その2つの大河が運んできた多様な土から生まれた地域です。現在は政令指定都市となり,人口81万人のビルが建ち並ぶ街ですが,現在でも市域の約4分の1が海抜ゼロメートル地帯であるこの場所の歴史は,かつては水はけが悪く,まさに水と土との闘いの繰り返しでした。先人たちの血のにじむような努力によって自然との共存に成功し、日本一の美田が生み出されたのです。
そこで新潟市では「水と土の文化」を掘り起こし、文化・芸術による新しい街づくりを進めるために「水と土の芸術祭 2009」を開催することにしたそうです。
アートノコヨミでは全4回にわたって「水と土の芸術祭 2009」の模様をレポート。1回目の今回は"砂丘と海のゾーン"を中心に展示された作品9点を紹介します。

ラサール条約にも登録されている砂丘湖「佐潟」に浮かぶ作品。川舟制作者の中川仲一さんとコラボレーションしたもので、川舟にはソメイヨシノとサルスベリが一本ずつ乗っています。砂丘湖の風景と不思議に溶け込み、自然でありながら幻想的な風景をつくり出しています。

上堰潟公園内にある池にスロープ状の通路が突き出しており、海抜0メートル地点に立てるようになっています。かつては「腰まで水に浸かって農作業を行った」という先人たちの苦労に思いを馳せながら体験してみると、作品の奥深さを感じられます。

用水にも利用されるために水位が高く、排水不良に悩まされてきた矢川と、排水のために水位を低く設定した大通川放水路。その2つが立体交差する地点に、約500メートルにわたって写真が展示されています。水と泥を救う手を撮影したこの作品には、多くの新潟市民がモデルとして参加しているそうです。

船山神社に隣接する公園内の広場に水を張り、その上に建てられたインパクトのある作品。竹とワラとシーツで制作され、神秘的な雰囲気を醸し出しています。
雲にみたててあるというシーツのかさかさという音によって、風を感じることができます。

廃村となった村から移築された篠原幸三郎家の屋内に、砂やビーズで音をつくる漏斗(ろうと)をつなげた作品が天井からぶら下がっていて、観覧者が音をつくって楽しめます。その他にも海の映像が床の間に映し出されていたり、窓には魚型のモビールが吊るされていたりと、海の中に迷い込んでしまったような錯覚を味わえる作品です。

新潟市内でも有名な海水浴場、角田浜の一角に設置された7つの黒光りする石。表面には古代エジプトの象形文字・ヒエログリフで、神々や王の名前が刻まれています。
日本海をバックにしたこの作品は、私たちの願いや平和を望む気持ちをかなえてくれそうな神々しさに満ちていました。

山ノ下みなとタワーにひときわ目立つ星型の模様が映し出されています。ある一点からプロジェクターにて円を投影し、円と建物の端の接点を赤い線で繋いで、この作品はつくり出されたそうです。建物内に入って展望台から見る赤いラインも非常に印象的。
ある一点からしか赤いラインは繋がって見えないので、そのポイントを見つけてみては?

信濃川の水際に、カゴを逆さにしたような竹で編んだドームが。内部には掘りごたつのようなものがあり、取材時には数人のご老人がお弁当を楽しそうに食べていました。
信濃川からの風が吹き込んでいて、作品内はとても心地良い空間になっています。(10月8日の台風で,この作品は倒壊してしまいましたが、現在修復を完了し、作品をご覧になり、体験することが出来ます。)

信濃川沿いのやすらぎ堤の散歩道に設置された、樹木を抱えて座る2体の人物像。著名な音楽家たちの名前で体は覆われていて、近くにある音楽ホール『りゅーとぴあ』と共鳴し合っているような作品です。
物静かに感じられる2人の表情は、川のせせらぎに聞き入っているようにも見えます。川から聞こえる音も、彼らには音楽に聞こえているのかもしれません。
今回、ご紹介できたのは「砂丘と海のゾーン」の一部です。みなさんもぜひお出かけになって、その他の作品もご覧になってください! また、今後の「『水と土の芸術祭 2009』に行ってきた!vol.02~vol.04」にもご期待ください。